Only Three Months
「…あなたがおかしいことには気付いていたのよ、アリー。
 ああ、なんてことでしょう。
 辛かったわね…ごめんなさい」
「いいの、私は大丈夫」


そうやって、母親を気遣ってしまう。
アリーが大丈夫じゃないことは、オレが一番分かってる。


「大丈夫なはずがないわ。
 だってあなたは…」
「大丈夫よ。
 マイクがいたから」


突然出てきたオレの名前に反応できなかった。
驚いて、アリーを見るだけ。


「お母様、マイクの話を最後まで聞いて?
 マイク、この場で言うことがまだあるでしょう?」


王妃は、オレが誰なのか知っているんだろうか。
アリーが話しているのかもしれない。

サーを見ると、うなづいてくれた。
これはもう、オレが誰なのかはっきり言うしかない。
こんないきなり言うことになるとは思ってなかった。


貴族たちのざわつきを遮って、貴族たちのほうを向いて、話し始める。


「…僕の名前はマイケル・リリーといいます。
 リリーという姓を聞いて、僕が誰なのか分かる人はいないでしょう。
 ヴィクトリアでは、正しい歴史を習わないし、忘れ去れてしまっているでしょうから」


オレの後ろには、こんなにたくさんの人がいたんだ。
この人たちが全員、今までオレが話してたことの証人になる。

見回して、深呼吸をして。


「…僕は、アルバート王国正統王位継承者です」


一瞬時間が止まった感じがした。
貴族たちがオレの言葉を理解して、口々に話し始めるまでの時間。


「みなさま、お静かに。
 マイケルの身分を証明できるものはありますか?」
「私が持っています。
 ここにアルバート王国最後の国王、ダニエル・リリーからの手紙があります」
「あなたは?」
「ジャクソン・リリーです。
 アルバート城の管理をしています」


王妃なら、サーのことも分かるはずだ。
ただ、直接会うのは久しぶりなのかもしれないけど。


「王妃様、発言してもよろしいですか」
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