Only Three Months
聞き慣れた声。
聞きたくない声。
オレが、一人暮らしをするようになった理由を作った人。

王妃の返事を待たずに、王座の下、オレたちの前に出てきて口を開いた。


「あなたに邪魔はさせないわ、ジャクソン」
「この機会に、言いたいこと言わせてもらいますよ、叔母さん」


サーより前に、オレが言った。
今なら、何でも言える気がするから。


「アルバートを滅ぼして、叔母さんが欲しかったものは手に入った?
 叔母さんは自分の国が欲しかったんだろ?
 アルバートが長男継承で、自分の国にできなかったから」


ヴィクトリアの王妃もアリーも、オレの話を止めてこない。
サーも、周りの貴族たちも。


「叔母さんは、オレの両親に毒を盛って、殺すのを選んだ。
 ヴィクトリアに取り入って、自分の立場を有利にするため」


王妃がうなづいてくれる。
分かっていたのだろうか…?
いや、オレに話を続けなさいというサインを送ってくれただけか。


「オレを殺さなかったのは、その方が叔母さんに都合がよかったから。
 両親は病死とされていたから、残されたオレを叔母さんが育てたら、オレを利用できる」
「黙って聞いていれば何を言う。
 庶民のくせに、私に威張ったような口を利くんじゃないよ!」


短気な性格は変わってない。
ヴィクトリアの国王に通じるところかもしれない。


「オレが庶民階級にいるのは、叔母さんがアルバートを滅ぼしたからだ。
 元から庶民だったわけじゃない。
 それに、もしオレが今も王族だったとしても、叔母さんに利用されるのは嫌だ」
「人聞きの悪い。
 育ての親に向かってよくも」
「育ててもらった覚えはない。
 家事とかオレにさせてたくせに」
「でっちあげるんじゃないよ!」


叔母がヒートアップしていく。
オレは対照的に、冷静でいられるような気がする。
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