Only Three Months

「私から、アルバート王国についてこの場を借りて申したいことがあります」


アリーすらも驚いているように見える。
王座の上だから、あんまりそうは見えないけど。


「アルバート王国が残念ながら滅びてしまってから、ずっとあることについて調べてきました。
 アリシアと同じ誕生日で、とても仲の良かったアルバートの王子がどこへ消えてしまったのかを」


まさか、ヴィクトリアの王妃がオレを探していたとは。
何も反応することができなかった。


「王族の中に同年代がほぼいなかったふたりにとって、お互いがとても大切な存在だと考えていました。
 時間のある限り遊ばせようと、アルバートの王族たちとは話していたのです。
 もちろん、今この場にいないヴィクトリアの国王は反対していました。
 そのため、公式な場でしかふたりが会うことはありませんでした」


王妃は一度言葉を切ると、立ち上がって一歩前へ出た。
アリーも王妃の隣にぴったりと立つ。


「それから、アルバートの王族であったあなたが、どうしてここにいるのか不思議だったのです。
 どうしてヴィクトリアの貴族として生活しているのか、私には分からなかったのです」


オレの叔母を見下ろしながら、王妃が言う。
王族独特のゆったりした話し方。


「そのご様子ですと、すでに気付かれているのですね」
「ええ、あなたと国王が愛人関係だったことを、知っていました」


王妃がホールを見渡して、反応を見ながら話していく。
貴族たちの多くは、自分の国で何が起こっているのか、理解できていないだろう。


「しかし、物事にはタイミングというものがあります。
 あなたが、きっとアルバートの王子のことを握っていると思っていたのです。
 その情報と引き換えに、ヴィクトリアの貴族として暮らすことができていたのです。
 結局は、アルバートの王子は自らこの場に来てくださったのですが」


王妃と目が合う。
…逸らせない。
王族の強いまなざし。
アリーからは感じたことのない力。
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