Only Three Months
スウェットを着て、寝袋を出してベットの横に広げる。


「マイク、何をしてるの?」
「寝袋出してる」
「なぜ?」
「『なぜ?』?
 一緒にベットには入れないだろ?」


一緒のベットで寝るとか、交際相手とかでも緊張しそうなものなのに。
姫となんてできるわけがない。


「詰めれば寝れると思うけど」
「え?」
「あれ? 違う?」


確かにシングルベットだから狭いけど、
でも姫はオレと一緒にベットに入ろうとしてる。
何かが、かみ合ってない。


「…マイク、もしかして、普通一緒に寝ないの?」


姫の常識だと、男女で特に仲良い関係でなくても、
一緒にベットに入って寝るってことなんだろうか。
だから、オレとずれてるんだろうか。


「女の子と一緒のベット、入ったことないよ」


姫がひきつる。
ショックを受けたような表情。


「姫」


そんな顔させたかったわけじゃない。
階級が変わっても、きっと男女の仲にならないと一緒に寝ないだろうけど、
姫が育った、城の中は違ったってことだよな?


「…マイクが嫌じゃなかったら、来て」


口調が、“姫”。
姫が求めるなら、一緒に入る。

柔らかくなった表情の姫が見える。
これでいいんだ。


「ありがとう」
「ん」


近距離で見れば見るほど、綺麗な白い肌をしてると思ってしまう。
顔には、傷がないから。

姫の手が動いて、オレの手を掴む。


「握ってていい?」
「ああ」


握ってる方が自然に寝れるなら。
折れてしまいそうな小さな手を、軽く握り返す。

姫が寝ようとして目をつぶる。
吸い込まれそうになるのを自制する。

一体、今までどんなことを経験してきたんだろう。
庶民のオレからしたら、公務なんて分からない。

でも、普通に生活する中で、オレたち庶民が身につける常識とは違うものを
王族である姫は身につけてるってことだよな。
階級が違うから当然なのかもしれないけど。
でも今のベットの状況とか、大事にしたいよな…
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