Only Three Months
「普段どんな授業があるの」
「庶民学校にないものだと、庶民学かな」
「『庶民学』」
「そう。その名の通り、庶民の生活を勉強するの」


王族は、貴族と一緒の貴族学校へ通う。
その中で、庶民のことを勉強する機会があるのか。


「…お父様には反対されたわ。
 ヴィクトリア史を取りなさいと強く言われたの。
 でも取らなかった。
 ヴィクトリアの歴史に関する資料は、城にたくさんあるもの」
「確かに」


…“お父様”か。
姫が城で何をされてたのかまだ聞いてないけど、
父親のことを“様”で呼ぶのは城を出ても変わらないんだな。


「庶民学校にはないの?
 何か、貴族学校になさそうなの」
「そうだな… 王族研究とかはあるよ。
 オレは取ってないけど」
「まさに似たような科目ね」


姫があまり驚かずにオレの家で過ごせてるのも、この庶民学のおかげなんだろうか。
庶民の生活に慣れてるというか。
城で過ごしてたら、庶民の暮らしなんて不便なものだろうに。
戸惑ってはいても、オレにそれが分からないだけ?


「カリキュラムを決めるとき、お父様と喧嘩したの。
 この授業は王族には要らない、こっちを取りなさいって。
 実際に学ぶのは私なのに」


国王とは、何回かぶつかってるのか。
報道される国王は、オレからするとすごく自己中心的で、
庶民のことなんて全く考えてないような政策を出す。
だから、オレは王族が嫌いだったんだ。

姫は、国王とは違う。
王族ってひとくくりにしてたのが間違ってた。


「そういうのもあって、私はお父様に嫌われてるわ。
 私しか王位継承者がいないのに、私が姫らしく振舞わないから」


そんな姫の姿勢には、国民として感謝するべき。
でも、姫はそんなの当たり前って思ってるような。
姫の立場なら、国民のことを知ろうとして当たり前って。
そうじゃなかったら、あの国王に反抗してまで授業を取らないだろうし。

なんで、姫はこんな状況に陥ってるんだろうな。
何が姫を苦しめてる?
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