Only Three Months
食器を片づけて、また戻ってくる。
日記を広げるけど、たぶん聞きながら書くことはしない。
十分、衝撃的で覚えてられる話だと思うから。


「姫」


ご飯のときの柔らかさが消える。
オレの、目つきのせいかもしれないけど。
真剣に、聞きたかった。


「…話して。
 昨日、姫が城から落ちた理由。
 肌のこと。
 それから、国王が、城の中で何をしていたのか」


姫が、オレから目線を逸らす。
ため息をついて、また向き直ってくれた。


「お父様が元凶だって、やっぱり分かってたのね」
「確信はないけどな。
 報道での国王のイメージと、昨日の会話で想像はしてた」


交流会で姫と踊ってから、オレの思ってた王族とは全然違った姫。
その姫が、夜中に国王と言い合って、城から落ちた。
気になって仕方ないんだ。

目を閉じてゆっくりと深呼吸をして、オレと目があった瞳は、潤んでいた。


「…マイクも知ってる通り、私はヴィクトリア王国の直系の王位継承者として育てられた」
「うん」


直系のってことは、親戚には王位継承できる人もいるってことなんだろうな。
姫が第一位なだけで。
報道も学校も、姫が唯一の王位継承者って言ってるけど。


「小学校までは、城の中から出られなかった。
 王族の行事では出てたけど、それ以外はずっと城の敷地内」
「勉強は?」
「8歳上の世話係が家庭教師も兼ねてて、その人から教わってた。
 お父様が言うには、早い時期から他の子どもと一緒なのは悪影響だって」
「8歳上…」


その世話係が引っかかった。
使用人とか世話係は女性、執事とか家庭教師は男性のイメージがあるから。

世話係って、着替えの手伝いとかする人。
その人が、勉強を教えられるほどだったのか?
女性で、その職に就くことは可能なのか?
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