Only Three Months
「お姫様と踊る男の子は、お姫様が当日にお選びになります。
 そのつもりをしておいてください」


誰と踊るかが決まってなければ、姫がドタキャンしても被害が少ないってか。

どうでもよくて、窓の外を眺める。
今日もいつも通りの綺麗な青空。


「先生、質問いいですか」
「どうぞ」
「どんな準備が必要ですか」


エドだ。
姫と踊る一席を、完全に狙ってる。
エドは、オレと違って女が好きだから。
変な意味じゃなくて、普通に女に興味あるというか。


「やはり、心構えでしょうね。
 服装をふさわしいものにするとか。
 間違ってもジーパンで来ないように」


担任がオレを見ながら釘を刺すように言ってきた。
王族が学校に来るってだけで、いつもの気楽な恰好ができなくなる。
スーツっぽく見えれば私服でもいいだろ。
担任が求めるのはタキシードなんだろうけど。

姫って、オレたちと同い年だよな?
庶民階級が、切り詰めて生活してるオレたちが、そこまでして迎える必要ある?


「詳しい日程は掲示しておきます。
 各自確認しておいてください」


SHRが終わると、担任が男子に囲まれてた。
交流会についての質問攻めだろうな。
やっぱり興味がなくて、窓の外を眺めて時間が経つのを待った。


  ☆


「マイクはさ、誰が選ばれると思う?」
「そんなの姫にしか分かんないだろ」


授業の合間で、エドが聞いてくる。
オレが興味ないの分かってるくせに。


「だから、『誰だと思う?』って聞いてるの。
 予想するの、楽しいでしょ?」


エドが選ばれるって、言ってほしいんだろ。
分かってるけど、無責任に言いたくない。
期待して選ばれなかったエドの、落胆したところは見たくない。


「…別に誰でもいいんだろ。
 当日決めるくらいだし」
「オレ、踊れると思うんだけど」
「あり得るんじゃない」
「ホント?」


ほら、顔が明るくなった。
容姿端麗、勉強も運動もできるエドなら、充分候補になるだろう。

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