Only Three Months

「世話係はトムって言って、生まれたときからずっと一緒。
　城の中での遊び相手はトムだったし、勉強を教えてくれるのもトム。
　食事の世話も着替えの世話もお風呂の世話も、全部トムだったの」


お風呂もか。
名前からして、男…


「私が中学校に上がって、トムの態度が変わったの」
「中学から？」


中学1年の13歳で、世話係は21歳か。
すごく、嫌な予感がする。


「トムに、身体を触られるようになった。
　お父様に、姫として必要なことだからって言われてたの。
　プロポーション維持のために、これが必要だって。
　トムにも、国民みんなから見られる姫だからこそ必要なことで、一緒に頑張ろうって」


思わず顔をしかめてしまった。
王族と世話係の関係だから、近親姦とは言わないかもしれないけど。
それに近いことが城の中で起こってたのには間違いない。
オレの表情が変わったことで、姫が不安そうにする。


「その反応ってことは、やっぱりおかしいのね」
「少なくとも、庶民のオレにはない感覚」


オレが近くで女性の身体を見たのは昨日が初めてだ。
昨日、姫を助けて手当してるとき。
それくらい、オレには経験がないから、庶民の平均も分からないけど。
エドとも、そういう話は一切しないし。


「…なんとなく嫌で拒んでも、力に勝てないし、叩かれるようにもなった。
　お父様に話されて、ものすごく怒られた。
　それで、15歳のときからはお父様にも触られるようになった。
　お父様を拒むと、思いっきり殴られる。
　物で殴られることもあって、その跡がここにある大きいの」


昨日姫の肌を見たときに、古そうな長い切り傷の跡がお腹にあったのは見た。
そういう経緯なのか…

たまに、庶民学校で男子がこういう話をしてるのを聞いてしまうことがある。
でも、それは、“彼女とどこまで進んでるんだよ”とか、そういうの。
親に身体を触られてるなんて話、聞いたことがない。