Only Three Months
「…オレのこと、怖くない?」
「怖い?」
「その世話係と国王と、同じ男だよ?」
「マイクに肌を見られても、寒気も吐き気もしなかった。
 昨日背中をさすってくれてたのも、涙を拭いてくれてたのも、すごく温かかった。
 同じ男性とは思えないくらい」


姫が話しながらずっと我慢してた、涙が一筋零れる。
なんで今までテーブルで対面で話してたんだろう。
もっと早く支えてあげるべきだった。

ベットに腰かけて、姫をオレの目の前に呼ぶ。
そのまま正面から抱きしめて、姫をオレの上に座らせて。
後ろに回した手でさすって。
時々身体を離して、涙を拭う。


「…辛かったよな」


オレの肩で頷く姫。
背中をさすりながら、頭にも手をやって。

なんて言葉をかければいいのか分からない。
オレは男だから、女の子が気持ちいいことされるときの気持ちを完全に把握はできないけど、
無理矢理だったことに代わりはないし。
嫌で抵抗した結果が、あの肌の傷なわけで。


「話してくれて、ありがとう」


昨日より、泣き方が酷くて、息がすごく乱れてる。
オレの言葉への反応ができないくらい。


「姫?」


顔を見ると、驚いてるような姫。
過呼吸なら、慌てずにゆっくり呼吸すれば治まる。


「ゆっくり息を吐いて」


やろうとしてるのは伝わってくる。
でも、姫はパニックに陥ってる。


「大丈夫、治まるから」


頷く割に、息が上手くできてない。

…気付いたら、もう行動してた。
姫に、キスしてた。

過呼吸の発作を止めるには、息を止めるのも有効で。
びっくりして息を無意識に止めたんだろう。
オレが離れたあとの姫は落ち着いてた。


「ごめん」
「ううん、ありがとう」


そう言って、姫はまたもたれてきた。


「もうちょっと、このままでもいい?」
「ああ」


泣き止んだ姫の腰の辺りでリズムを取ってみる。
だんだん、姫が重たくなってきて。

少し身体を離してみると、やっぱり眠ってしまってて。
しっかり眠れてないのは予想ができたから。

姫をそのままベットに寝かせて、日記の前へ戻る。
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