Only Three Months
オレがいるから。
出来る限り、オレがそばにいるから。

そんなことを思っても、やっぱり何か特別なことをしてあげられるわけじゃない。
姫が見つかって連れ戻されるまでの期間、一緒にいてあげるだけ。



そもそも、オレが一人暮らしな時点で庶民の普通に当てはまってないし。
子どもが就職して独り立ちするまでは親と同居が当たり前。
進学のたびに引っ越してる人もいるとか、聞いたことがある。

オレは、両親を亡くしてる。
今オレに生活費を送ってくれる叔母によると、母親はオレを産んだときに、
父親はオレが3歳のときに病気で亡くなったらしい。

オレ自身に、両親の記憶はほとんどない。
唯一父親について覚えているのは、夜の森を一緒に眺めていたこと。
それが、姫を見つけた森の散歩へつながってる。
夜の森が好きだったから。



子どもが独り立ちするまで一緒に住まないといけないのは両親だから、
叔母はオレと住む必要がない。

それでも、中学に入るまでは同じ家に住んでた。
さすがに、一桁の年齢でひとりで生活はできないから。

ずっと、叔母のことは嫌いだった。
オレを奴隷のように扱って、叔母は家事を何もしなかった。
唯一してたのが、オレの噂を流すこと。
悪い噂を流されて、オレは学校で孤立するようになった。

叔母は、有名貴族の出身らしいけど、本当かは分からない。
詳しいことを聞いても教えてくれなかったから。
聞いていても、オレがその話を素直に信じるわけはないけど。



両親がいないことで普通じゃなかったオレが、
叔母の噂によってもっと人が寄ってこなくなって。
エドしかいなくなった。
オレに関わると悪影響だからと、親に近づくのを止められてた人もいる。

そう思うと、いつも不思議なのが、なんでエドはオレとずっと一緒なのかってこと。
確かに今となっては保育園から一緒なのはエドしかいないけど、
オレから離れててもおかしくなかったんだ。

エド本人に聞いてみたこともあったけど、“友達でいるのに理由要る?”って言われて。
すごくありがたいことだけど、エドの家庭はごく普通だから。
オレと一緒にいることで、エドの評判が下げられるのをいつも気にしてた。
エドは、そんなこと気にしてないと思うけど。
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