Only Three Months
「国王の声明によると、今日から軍隊使って姫を捜すんだって!」


そうなるのは予想してた。
国の一大事だ。
警察以外に、軍隊が動くのは当然だろう。

姫がオレの家に来たのが交流会のあった土曜日。
日曜日の昨日、城周辺を捜して見つからなかったってところか?
国王にしてみれば、こんな事態になるとは思ってもなかっただろうな。


捜索の手が庶民階級に来るのは、まだ先だ。
まずは城内部の関係者と貴族階級、それと他国に誘拐されてないかが真っ先に調べられる。
そのあとで、商人階級に捜査が入って、最後に庶民。

確か、その目安の期間は3か月。
何かの授業で習った。


大々的に姫の捜索が始まっても、帰すなんてできない。
城の中で何が起きてたのか知って、帰せるはずがない。

そもそも、オレはもう姫を2日、国王の許可なしで家に泊めている。
その時点で、オレは犯罪者。
それならもう、姫と一緒に居る時間はできるだけ長い方がいい。
結局、犯罪者に代わりはないんだから。

オレと一緒に住んでる間、姫には少しでも安心していて欲しい。
いつか来る、城に連れ戻される日までは、姫が自分らしくいてくれれば。
連れ戻されたら、きっともっと酷いことされるだろう?


「お姫様って、つかめないよね」
「どういう意味」
「どう捜されてるのかも、授業の知識以上のことは分からないし。
 お姫様が城からいなくなったなんて、前代未聞だし」
「確かにな」


ヴィクトリア王国の歴史は一通り必修。
王族の誘拐事件なんか、なかった。
もちろん、失踪したなんてことも。

早く家に帰りたい。
姫に、確認したい。
こういう状況になったときに、国王だったらどうするか。
王族の捜索って、どう進むのか。


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