Only Three Months
「本日正午より、警察と軍隊による共同捜査が開始されました。
 国王様の声明によりますと、姫様が自室にいないことに気付いたのが昨晩で、
 複数の王族従事者で城内を探したものの見つからず、
 今回の捜索に踏み切ったとのことです」


休日だったとはいえ、翌日に公表しなかったのは信用問題だしな。
真実を知ってる身から言わせると、
いかに自分の非にしないかを考えてるようにしか見えない。


「本日と明日の二日間で、王族従事者への聞き込み調査を完了し、
 貴族への捜査へ移る予定です。
 また、近隣諸国にも情報提供を呼びかけています」
「ありがとうございました」


テレビを消す。
これ以上見ても同じ内容の繰り返しだと思ったから。

それに、姫の様子がおかしい。
驚いてた表情が、不安に変わってる。


「…どうしよう」


どうするも、姫は城には帰れない。
オレが、帰さない。
学校へ行ってる間に、姫が家を勝手に出ない限りは。


「私、マイクを誘拐犯にしたのね」
「…そうなるな」


否定はしなかった。
本当のことだし。
オレはもう、覚悟を決めてたんだけどな。
ひとりで生活してて、失う物もないし。

誰かを誘拐して監禁するのが罪になるのは当然。
でも、この国だと軍隊や警察以外が王族を助けるのも犯罪。

救出された王族が状況を説明して、
それが認められれば無罪になることもあるけど。
オレの出身が不透明だし、国王が姫の説明を認めると思えない。


「オレが犯罪者なのはもう決まってるから」
「でも…」
「事実を知って、城に帰せるかよ」


隣にいる姫を引き寄せる。
同じベットで寝てるのもあって、
こうやって触れることに慣れてきてしまっている。


「…でも、マイクは犯罪者になってしまう」


今の姫には、そのことしか頭にないんだな。
自分がどうなるとか、考えてないんだ。


「…オレの刑が決まるまでに、姫が即位してたらいいのに。
 釈放できるだろ?」


オレの腕の中で、姫は何も言わなかった。
望みが薄いことが分かってるから。
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