Only Three Months
「マイクだったりしてね、お姫様の相手!」
「ないな」
即答。
何を言いだすかと思えば。
オレには踊る気すらないのに、選ばれたいとかさらさら思ってない。
学校内でダンスパーティーがあったとしても、
オレと踊りたい女子がいるとは思えないのに。
あり得ないだろ。
「オレたちのこと見てる女の子がこんなにいるんだよ?
お姫様からも注目されると思わない?」
それは、エドを見てるんだろ。
エドは、女子から人気がある。
エドがオレと一緒にいるときですら、
わざわざ用事を作って話しに来る人がいるくらい。
その質問の答え、別に他の男子でも言えるだろって。
オレがそんな対象になってるとは思えない。
話しに来る人なんていないし。
「オレたちのこと見てる女の子多いんだよ?」
「それが?」
エドには、オレも対象だと思えるんだな。
これを覆すのは難しいだろうし、もうその認識でいい。
「女の子に見られるの、嬉しくない?」
「別に」
嬉しいどころか、何とも思わない。
正確に言うと、慣れた。
廊下を歩いてるだけでじっと見られたり、
教師に質問の答えを指名されて答えたら、『すごーい!』って言われたり。
そういうのができる女子は、オレの過去を知らない人。
知ってる女子は、オレを見ないし話しかけようとも思わないはず。
これは男子にも言えることだけど。
…それが、普通。
それが、オレの学校生活。
だから常にエドと一緒に行動してるし、今一人暮らししてる理由でもある。
全てはあの叔母のせい。
「オレたちふたりとも選ばれる可能性高めだよね」
「そうか?」
「親友だけど容赦しないから!」
「誰も張り合ってないし」
姫が誰と踊ろうと、オレは興味がない。
ただ、エドが選ばれたなら、“おめでとう”くらいは言うと思うけど。