Only Three Months
「…そうか、すべてを知ってるんだな」


ということは、サーもオレが知ってる内容は知ってたってことだ。
オレに会う前から信用してた人と同じ内容を、
アリーはオレにも教えてくれてたのか。


「マイク、ご両親は一緒なのか?」
「いえ、両親はすでに亡くなっています」
「すまない、そんな応えとは思ってもいなかった」
「慣れてますので」


サーが、確認するようにオレに聞いてくる。
アリーのことを知っている人間が、何人いるのかの確認。


「引き取られたのか?」
「叔母と住んでましたけど、5年前から一人暮らしです」
「そうか、ちょっと待っててくれ」


保留音が流れる。
アルバート城の住民は、オレにできない何かができるんだろう。
オレがアリーにしてあげられることは、どうやったって限られる。

ただ、旧アルバートの人間はヴィクトリアでできることに制限があるはず。
アリーを迎えに来るとか、できないんだろうな。


「サーなら、きっと何か考えてくれるわ」
「そうだといいけど」


保留音が切れる。


「この電話はふたりで聞いているな?」
「はい」
「それなら、ふたりに話す」


アリーが身を乗り出して、携帯に近づく。
音量を上げて、サーの言葉を待つ。


「君たちふたりを私の養子にしようと思う」


意味が分からなくて、頭の中が真っ白になった。
養子の意味自体は分かってるけど、オレとアリーが?
アリーも、あっけにとられたような表情。


「今、アリーは外出せず、
 マイクは普段通り学校へ通学してると予想するが、合っているな?」
「はい」
「それには、限界が来るだろう。
 一人暮らしのマイクの家の窓から別の誰かの姿が見えれば、
 注目されてしまうだろう?」
「そうですね」


近所の人とも、叔母のせいで仲は良くない。
少し遠いけど、仲良いのはエドの家族くらいだ。
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