Only Three Months
「養子としてなら、ひとつ屋根の下に男女が一緒でもおかしくない。
 アルバートの関係者である私の子どもとなれば、
 誰も余計な詮索をしようとはしないはずだ」


アルバートって単語が出た時点で、その話を避けるだろうな。
ヴィクトリアの国民って、そういう人たち。

今の、アリーをひたすら隠すって状況のまま、
アリーが見つかって、オレと誰かが一緒に住んでるって
噂になるよりはずっといい気がする。


「アリーとマイクが養子関係になったとして、
 次に問題になるのがアリーの生活だ。
 いくら外に出ないようにしていたとしても、
 いつどんなタイミングで姿を見られてもおかしくない」


そう、そこなんだよな。
オレが学校へ行ってしまってる間、アリーはこの家でひとりなんだ。


「だから、アリー、学校へ行きなさい」
「えっ?」
「失礼だがマイク、君の階級は?」
「庶民です」
「なおさら学校へ行くべきだ。
 わざと、人の目に触れるんだ。
 庶民であれば、まさか姫が紛れ込んでるなんて誰も思わない」


びっくりしすぎて、言葉が出ない。
アリーが庶民学校に来るとか。


「アリーとマイクの兄弟関係が明らかになれば、
 アリーは学校でマイクを頼ることができる。
 庶民学校に捜査が伸びるのもまだ先だ。
 マイク、どう思う?」


何の警備のない、オレの家にずっといるよりも、
庶民学校に一緒に行って、オレのそばにいてくれる方が安心かもしれない。
オレが、変に心配しすぎずに済む。


「それしか方法はないですよね」
「そうだな」
「いい案だと思います」
「アリシア、できるな?」


アリーは不安そうに、オレを見る。
頷いてやると、返事をした。


「分かったわ、やってみる」
「決まりだ。
 手続きは任せてくれ」
「ありがとう、サー」


電話を切られる前に、話したいことがあった。
アリーはあまり気にしてないのかもしれないけど。
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