Only Three Months
「サーに頼みたいことがあるんです」
「言ってごらん」
「アリーの服とかを送って欲しいんです」
「なるほど、男には難しいな。
 私の妻に頼んでおくよ」
「ありがとうございます」


電話に監視が入るのと同じように、荷物にもチェックが入る。
でも、アルバートが発送元だと話は別。
中身を開けられることなく届くはず。
開けられたとしても、兄弟に必要な物が入ってるだけだけど。


「そんなにかしこまる必要はない。
 アリーのように、気軽に話してくれ。
 私はもう、王族でもないのだから」
「はい」


とりあえずの返事。
そう言われても、なかなか難しい。
アリーは、年が近いから割とすぐできたけど。

アルバート城に住んでるってだけでも違うのに、
年上だし、結構な。
アリーがサーと気軽に話せるのは、立場がアリーの方が上だからだ。


「何かあったらまた電話してくれ。
 大抵出られるはずだ」
「分かりました」


電話が切れた。
アルバートの関係者って、みんなこんな感じの人なんだろうか。
学校で話題になることがなかったのもあって、
あんまり考えたこともなかった。


  ☆


ベットに入ると、アリーが手を握ってくる。
初めは、アリーが安心するためだったけど、
今ではオレも安心する。
ちゃんとアリーがここにいるって分かるし。

オレがこの手を離したら、お互いがまたひとりになってしまう。
オレには家族はいないけど、エドがいる。
アリーには家族はいるけど、心を許せる家族じゃない。
城に帰してしまったら、本当にひとりになってしまう。
庶民のオレとは、連絡も取れない。

せっかく城を抜け出したんだ。
オレと一緒に過ごしてる間くらいは、城でのことを忘れててほしい。
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