Only Three Months
「それなら、学校でたくさん話そうね」
「楽しいこといっぱいあるし」
「マイクの知らないことも教えてあげる」
「うん…?」


オレを見て笑いながら、男がアリスとしゃべってる。
チャラい集団。
オレの知らないことって何だよ。
こいつらのことだし、男女関係か?

…知識がないことはない。
経験はないけど。
家でアリーを引き寄せて慰めたのが一番近い距離。
社交ダンスのときも近いけど、あれは何の意識もないし。

アリスを、ひとりで男たちに会わせるのは危険。
この集団に限らず、オレとエド以外の男はみんな危険かもしれない。


「…アリス、学校案内してあげる」
「うん」


1時間目が自習だったのもあって、エドが提案してくれた。
このままずっとアリスが話しかけられるのを見てるよりずっといい。


「大丈夫?」
「あんなに話しかけられると思ってなかった。
 男の子ってみんなあんな感じ?」
「だいたいは?」
「前の学校では違う感じだったんだ」
「そう」


アリスが聞いてくる内容は、オレは貴族学校のことが思い浮かぶから
貴族の男性はあんなふうに話しかけてこないんだって思った。
エドは、その前提を知らないから、前の学校のことを確認したんだ。


「なんとなく、みんな怖かった。
 女の子も男の子も」
「オレに対してはみんなああだから」
「いろいろあったもんね」
「どんなこと?」


…オレは、アリスの話を聞いた。
でも、オレの話をまだしていない。
それに、今気付くのもどうかと思う。


「マイク、話してないの?」
「…ああ」


話す方がいいのは分かってる。
オレに両親がなんでいないのか。
そこから始まる叔母との生活や、学校でのこと。


「話すべきだよ。
 一緒に暮らすんだから」
「ああ」


アリスを見ると、笑ってくれた。
話してもいいとは、到底思えなかった。
オレの過去を聞く不安が、隠せてなかったから。
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