Only Three Months
図書室とか保健室、体育館に調理室、音楽室も見て回って。
たぶん、貴族学校と比べたら設備が劣るんだろうけど。
アリスは上手く隠してた。


「やっぱり人気校は違うね」
「何が?」
「設備が充実してる。
 しっかり授業できる感じ」
「確かにそれはあるかもね」


中でも興味を持ったのは図書室だった。
ゆっくり蔵書を見まわしてた。
庶民がどういう本を読むのか、興味あるんだろうな。


「次からはちゃんと授業?」
「国語だっけ?」
「確かね」


教室に戻ると、アリスが一気に囲まれた。
オレたちが帰ってくるのを待ってたのか。
授業のギリギリまで帰ってこなければよかった。


「…ごめんなさい。
 もう少し学校に慣れて落ち着いてからがいいの」
「そんなのすぐ慣れるって」


男子が取り囲んでるんだよな。
それがすごく不安で、心配で。

隣の席のオレが聞き取れる内容は全てじゃない。
オレが心配しすぎるのも怪しまれるかもしれないけど。

まだ1日目だ。
これからまだまだアリスと話そうとする人は増える。
あんまりしつこい人には、オレが割って入るけど。

ちゃんとアリーを守れるんだろうか。
…ずっと一緒にいれるわけじゃない。
オレと近い今だけでも、守っていたい。


  ☆


放課後、すぐに学校を出ずに、少し様子を見る。
本当は、人が寄ってくる前に帰りたかったけど、明らかにおかしいから。



「アリス、今日暇?」
「え?」
「オレらと遊ばない?」


朝、オレのことをバカにしてきてた男。
こいつらの遊びは、ただの遊びじゃない。
紳士教育のストレスを解消する方法を間違ってる。


「ごめんなさい、まだ片づけが残ってるの」
「引っ越ししてすぐだもんね」
「でも、オレらと遊んでからじゃダメ?」
「マイクひとりに任せるのは悪いもの」


アリスがオレの方をちらっと見て。
その言葉、アリスは本当にオレに荷物を全て押し付けるのは悪いって思ってる。
でも、この男たちは?
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