Only Three Months
エドと別れて、家の鍵を開けて。
その間もずっと、どう話すかを考えてた。

オレの過去はエドが唯一知ってるけど、ずっと隣にいて見てたから。
オレから直接話したわけじゃない。


「マイク?」
「ん?」
「思い詰めてる?」
「ああ…どう話そうかと思って」


ベットの端に座るアリーに、目で呼ばれる。
抵抗する気もないし、呼ばれるがまま。


「私のこと、マイクに聞いてもらったときは怖かったよ」
「怖かった?」
「王族嫌いなことは分かってたし、もっと嫌いになるかなって。
 交流会のときにこんな素敵な人もいるんだって思ったのに、この人に嫌われるのかなって」


オレに、嫌われるのが怖かった?
たぶん、そのとき頼れるのがオレだったから。

アリーが、もたれてくる。
さすがの王族でも、いつもと疲労の種類が違うのかもな。



「でも、マイクなら、どう話してもちゃんと聞いてくれるって、なんとなく思った」
「え」
「それに、手当もしてくれて、絶対気になってると思ったから」
「確かに、気にはなったけど」
「だから、大丈夫。
 私にも、聞く準備はあるから」
「…ああ」


こうやって、自分のことをちゃんと言葉にできる分、城では苦しんだんだろうな。
国王が、あんなだから。
否定されてきたようなものだと思う。

アリーの肩をなでてると、安心するのはなんでだろう。
まだまだ安心なんてできないのに。
今日の捜査の情報も見てないし、オレの話もしてないのに。


「…慣れない環境は疲れる」
「だろうな。
 アップルティー、淹れてこようか?」
「うん」


アリーから離れて、キッチンへ。
早くこの段ボールを片づけないと。
サーが送ってくれた段ボールに床をほぼ占拠されてるんだ。

テーブルにいつものようにお菓子と一緒に置いて。
情報収集のためにテレビもつける。
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