Only Three Months
「…マイク」


いつものスウェットに着替えたアリーが隣に座る。


「何が必要?」
「…オレのスウェット取って」
「うん」


何してるんだろうな、オレ。
アリーを守りたいって思っても、結局はこうなった。
今だって、アリーは泣くのを我慢してる。

スウェットを洗面台から持ってきてくれたアリーが、また隣に座る。
抱きしめようとすると、押し返された。


「…怖かっただろ」
「まだ泣かない。
 マイクの手当てするまでは、泣かない」


そう言って、オレの服に手をかける。


「自分で脱げる」
「うん」


返事をしておきながら、アリーは手を止めない。
アリーの、細い手首を掴む。
…見られたくないんだよ、傷跡。


「…オレの身体、見たら後悔する」
「え?」
「それでも、見たい?」


アリーの手から力は抜けたけど、目線は外れない。
見る気なんだな。
一息ついてから、一気に上半身裸になる。


「…っ!!」
「な?」


オレの予想通り、出血は確かにしてなかった。
予想外なのは、内出血の酷さ。
見た目がえぐい。


「ん?!」


アリーが、抱き着いてくる。
オレを気遣ってか軽くだけど、オレの素肌にアリーが触れてる。


「…痛い?」
「多少は」


そう聞いてくるアリーの声は震えてて。
背中をなでてあげる。


「痛くないことないでしょ?
 なんで、マイクがこんな目に遭わないといけないの」
「オレが聞きたい」


アリーは、優しい人だから。
オレの傷見て泣いてくれる人。
だから、見せたくなかったんだ。

アリーが落ち着くのを見計らって、声をかける。


「アリー、とりあえず、着替えるから。
 アップルティー淹れてきて」
「…分かった」


アリーがキッチンへ行ってる間に、下を履き替えて、上もスウェットを着て。
オレのために泣いてくれるのは嬉しいこと。

でも、アリーはまだ自分が怖かったことを話してくれてない。
ちゃんと、聞いてあげないと。
あいつらとは、また学校で会わないといけないから。
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