Only Three Months
オレたちの学校は、紳士・淑女教育に力を入れていることで有名らしい。
国外からも受験に来るらしい。
なんで“らしい”かって、オレがそれを意識して入学してないから。

この学校には付属校があって、オレは保育園からエスカレーター。
節目で試験があって、それを落とさない限り高校まで進級できる。

オレと同じ保育園から入学してて、今も同じ学年なのはエドだけだ。
みんな成績が足りなくて、留年か退学になっていった。
だから、エドとオレは一緒に行動する。
なぜか、ふたりともお互い以外に友達ができないから。

正確に聞いたことはないけど、今の同級生はみんな年上なはず。
エドとオレは一度も留年せずにストレートで進級してるから。
同い年なら保育園からずっと一緒なはずだし。
途中から入学しようとしても、難易度が半端なくて、
オレたちの年で入学はできないらしい。

庶民学校なのに、変わってる。


「…あのっ」


エドを見ながらそんなことを考えてたら、
近づいてきてた女子に気付かなかった。
話しかけてきた女子の後ろに、もうひとりいる。


「踊っていただけませんか」
「ごめん、気分じゃないし」


一緒に来ていた女子に支えられて、オレの前から去っていく。
オレは気分じゃないから断っただけ。
そんなにショックを受けることか?

エドを探すと、相手が代わってた。
何でもできるエドが、得意にしてるのがダンス。
自分を立ててくれる相手を選んでるんだろうな。

タキシードの、学生でも教師でもない男性が、近づいてくる。
姫の執事か?


「すみません、IDをお願いします」
「あ、はい」


専用の機械に通すと、個人情報が見れるバッチ。
通称、ID。
こういう行事のときは特に、目立つところにつけてないといけない。
名前や住所はもちろん、所属階級、出身家柄、学歴なんかも分かるらしい。
出身家柄なんてオレも自分の詳しく知らないのに。


「ありがとうございました」
「いえ…」
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