Only Three Months
「マイク、顔が怖い」
「ごめん」
「何を考えてるの」
思ってしまったことを伝えるか迷う。
アリーがわざわざ思い出す必要はない。
「アリーの身体を洗ってたのは誰か」
「トムよ。例外なく」
はっきりと答えられてしまう。
聞いてた話だし予想もできていたのに。
「ねぇ、マイク」
「ん?」
「身体、洗ってよ」
「え」
「嫌?」
シャワーを壁にかけてから、アリーを抱きしめる。
顔を見られたくなかったから。
アリーのそんな表情に、オレは勝てない。
アリーの身体に触れて、我慢できる自信もない。
「マイクにだったら、何をされてもいい」
「アリー」
ちょっと、黙ってて。
今ここにいるのは隠れてる一国の“姫”であって。
アリーの同意があったとしても、こうやって一緒にいること自体犯罪で。
さっきのベットでのことも、こうして一緒にシャワーしてるのも。
全部が犯罪なんだ。
…そんなの、言い訳。
そんな風に言われたら、歯止めが利かなくなる。
理性が、どこかへ行ってしまう。
「…マイク」
アリーの顔を見れないまま。
しかもふたりとも裸だから、目線が泳ぐ。
「…ずっと一緒にいれたらいいのに」
アリーから発せられた言葉に驚いて、思わず見てしまう。
泣きそうな、表情。
「マイクみたいな人、初めてだから。
こんなに私のこと想ってくれる人なんて、私は知らない」
涙に、口づけを。
額を合わせて。
アリーの目から溢れる涙が止まらない。
「どうしようもないのは分かってるの。
私は絶対に城へ帰らないといけないの。
でも、マイクと一緒にいたい」
流れる涙を手でなぞって。
オレも、同じことをずっと思ってる。
なんで、あんな城へ帰さないといけないんだ。