Only Three Months
口調を気にする人なんて、この状況ではオレくらいだろう。
男とアリスについて、噂を立てようとしてるのか。
それとも、オレとアリスが近距離なことを噂にするのか。
聞き取れない会話がたくさん聞こえてくる。

そんな教室を黙らせたのは、エドだった。


「…昨日、オレたちがアリスを助けた。
 だから、遊んでもらったのはオレたちだ」


怒ったときの低くて威圧するエドの声。
顔には出さずに、オレすらも驚いた。
エドが、こんなことを言うなんて。


「…アリス、本当?」


別のクラスメイトが聞いてくる。


「ええ。この人たちよりもずっと知ってる人だし」


アリスが、エドに合わせた。
その言葉が、クラスを混乱させる。
女の黄色い声と男のうめき声。

オレはともかく、エドは可愛い男って見られてる。
女と遊ぶなんて、女からしたら考えられないんだろう。
オレすら、エドにそんなイメージは持ってないし。


「アリスと遊んでもらったって自慢するつもりだったんだろ?
 実際は遊べなかったくせに」
「マイク、やんのか?」
「今こうしてアリスがオレから逃げないのが証拠だろ?」
「…っ」


男が黙った。
それを合図に、男の仲間が近づいてくるけど、囲まれる前にアリスを抱える。
昨日より人数は少ないし、女も見てる時点で、昨日ほどの事態にはならない。
エドにその場を任せて、教室を出た。


「マイクっ」
「そのままでいて」


下ろしてってことだと思ったから。
離したくなかった。
…独占欲が出てきてる。

もうすぐ点呼だし、廊下には誰もいなくて。
教師とすれ違うこともなかった。

オレとエドが授業をサボるときにいつも行く場所は決まってる。
屋上へ通じる階段の、最上段。

アリスを下ろして、隣に座る。
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