Only Three Months
「そろそろ教室落ち着いたかな。
 自習かどうか、分かる前に出てきたんだよね」
「たぶん自習だろ。
 最近ずっと1限目は自習だし」
「普段からこんな自習多いの?」
「いや、授業してたよ」


エドと見合わせて。


「1回、教室戻ろう」


アリスとの手をほどいてから立ち上がる。
階段を下りたところで、エドに耳打ちされた。


「何を隠してるのか、そろそろ教えてよ」


目を見ると、好奇心いっぱいの目。
アリスが“姫”だなんて、予想してないだろうな。
エドとアリスが話しながら、オレの前を歩く。

話さないとな、って思ってはいるんだ。
昨日みたいにオレが動けなくなることだってあるし。
でも、エドの予想を軽く超える話だし。
アリスの家の事情を、どこまで話すべきなのかも迷うし。


今まで、1日の半分が自習だった日はあっただろうか。
教師も総出で、捜索をしてるのか?
そうなると、時期的にアリスが疑われるのは時間の問題だろうな。
…そろそろ、オレも覚悟を決めないと。

いつも通り、三人で歩いて帰る。
エドの様子がおかしい。
前に何回かあった、この感じ。


「今日さ、両親旅行中で家にいないんだよ。
 寂しいから来て」


“寂しいから来て”なんて、オレは言わないけど。
旅行中なのは確かだろう。
でも、エドがオレを家に呼びたい理由は別にある。
アリーに、とりあえず聞いてみる。


「どうする? 行く?」
「マイクが行くならついてく」


アリーが拒否してくれたら行かなかったのに。
エドが嬉しそうにオレを見てる。
オレは、少し気が重い。

エドの家に入って、適当に勝手に座る。
何回も来てて慣れてるから、オレは好きなように。
それを見て、アリーも隣に座ってくる。
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