Only Three Months
その非現実な予想は当たってると思う。
最終確認。


「アリー、エドに話してもいい?
 嫌なら、話さない」
「もう話す気でいるんでしょ」
「ああ」
「エド、改めて自己紹介するわ」


アリーが立ちあがって、エドの正面へ。


「アリシア・バイオレットと申します。
 以後、お見知りおきを」


アリーが、ドレスを広げて礼をする真似をする。
エドは、一瞬フリーズして。
予想通りでも、驚くのは変わらなかったか。


「…思ってた通りだけど、まさかね」
「本当だよ」
「いや、別に否定したいわけじゃないけど、受け入れにくいよ、マイク」
「そうでしょうね」


アリーがまた真ん中に座って。
エドは今、混乱してるのを落ちつけようとしてる。
どうしてこうなってるのかを、話してあげないと。


「…マイク、誘拐したの」
「なんでそうなるんだよ」
「他に思いつかなくて」
「マイク、話してあげて。
 どうして私が今ここにいるのか」
「どこまで話せばいい?
 城の中でのことも、全部話していいのか?」
「ええ、マイクが信頼してる人だから」


アリーに感謝。
学校に味方が増える。

逆に、エドには謝罪の気持ち。
巻き込んでしまう罪悪感。

…それを口には出せない。
エドの優しさに甘えてしまう。


「…エド、覚悟しろよ」
「うん」


交流会のあと、何があったのか。
庶民どころか、貴族すら知らない城の内部事情。


「…思ってたよりずっと重かった」


エドの、素直な感想。


「マイクの過去で、慣れてるつもりだった。
 こういう、バイオレンスな話」


エドの家庭は、オレが見る限り、普通の庶民の家庭。
両親がいて、一緒に暮らして。
オレといなければ、けなされることもなく。


「エドは、今までのままでいいの。
 変わらないといけないことはないわ」


“姫”口調のアリーが、エドの目をまっすぐ見て。
それでもエドは、戸惑ってる。
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