Only Three Months
姫の執事と思われるその男性は、一旦姫にデータを渡しに行った。
姫は何かモニターを見てる。
どんな情報を見て相手を決めるんだろうな。

フロアに目をやると、踊ってる合間にエドもIDを通されてた。
候補が何人かに絞られたってことか。

曲が途切れて、友達同士で固まっていく。


「ここで、30分の休憩と致します」


姫が執事に手伝われながら席を立つ。
オレを見届けてから、オレたちは話し出す。


「マイク、誰だと思う?」
「ID取られた誰かだろうな」
「え、なんで知ってるの!?」
「オレも取られたから」
「え、ここに立ってただけなのに!?」
「悪かったな」


エドからしたら、そう思うよな。
一生懸命、服装も決めて、ダンスも申し分ないことを示したエド。
一方オレは私服だし踊りもしないし。


「何もしなくたって、お姫様には分かるんだね」
「え?」
「マイクがオレと張り合えるの」
「ああ…」


オレも姫と踊る対象に入るってことね。
選ばれたくないからこうして壁にもたれてたのに。


「飲み物取ってくるけど何か要る?」
「一杯はいい。一口くれたら」
「分かった」


エドは、滅多に怒らない。
負の感情を見たことがあまりない。
今だって、何もしてないのに候補者になったオレにイライラしててもおかしくないのに。

この休憩中に選考されてると思うと、落ち着かないのか。
それとも単に、踊ってたから喉が乾いてるのか。


「…マイク、お待たせ」
「ん」


半分くらいなくなったグラスから、一口もらった。
エドに返すと、一気に飲み干した。


「皆様、ご準備ください」


同じ男性の声でアナウンスが入る。
エドがグラスを返しに行って、すぐオレの隣に戻ってきた。
いよいよ、姫との相手が発表される。
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