Only Three Months
アリーが寝てから、そっと手を離して。
日記をメモ代わりに広げて、電話をかける。
「…もしもし」
「夜遅くにすみません、マイクです」
「この時間なら、アリーはもう寝てるな?」
「はい」
なぜか、サーの声はオレを落ち着けて。
すごくあったかい気分になるんだ。
どれだけ不安でも。
「何かあったんだろう、話してみなさい」
用事があるときは、オレから切り出せてたんだ。
アリーの服が足りないとか、そういうのは。
どうも、自分の気持ちを話すのは苦手だ。
「…不安で仕方なくなって」
「アリーが城に戻ることがか?」
「はい」
正確には、オレのそばからいなくなること。
ずっと一緒に居れたらいいのに。
「捜査がまだ貴族階級って報道されてるのも怖くて」
「遅いと?」
「はい。おかしくないですか?」
サーが、一瞬考えてから、話してくれる。
「やはり、賢いんだな。
そこに気付いてしまうんだ。
本当は気付いてはいけないところに」
「え?」
「おそらく、政府は捜索状況を隠してる」
国民を裏切る行為。
この国の、国王ならやりかねない。
ただ、公表してしまったら、アリーの逃げ道を作りやすくもなるかもしれない。
情報操作ってやつ。
「アリーはこの国のたったひとりの正統王族の姫だ。
捜索してるわりには遅い。
ヴィクトリアの国内、マイクが行く範囲で、衛兵や警官は?」
少し考えて。
「…アリーがここに来る前と変わらないです」
「本当に、庶民にはまだ捜査の手が伸びていないと思うか?」
「思いたくないですけど、もう伸びてるんじゃないかって」
言ってしまった。
言ってから、後悔した。
自分で、分かってるんだよ。
アリーと別れる日がもう近いことなんて。
「…アリーの、そばにいてやってくれ」
「はい」
おやすみなさいと切れた電話を置く。
手が震える。
逮捕が怖いんじゃない。
本当に、手放したくないんだ。
日記をメモ代わりに広げて、電話をかける。
「…もしもし」
「夜遅くにすみません、マイクです」
「この時間なら、アリーはもう寝てるな?」
「はい」
なぜか、サーの声はオレを落ち着けて。
すごくあったかい気分になるんだ。
どれだけ不安でも。
「何かあったんだろう、話してみなさい」
用事があるときは、オレから切り出せてたんだ。
アリーの服が足りないとか、そういうのは。
どうも、自分の気持ちを話すのは苦手だ。
「…不安で仕方なくなって」
「アリーが城に戻ることがか?」
「はい」
正確には、オレのそばからいなくなること。
ずっと一緒に居れたらいいのに。
「捜査がまだ貴族階級って報道されてるのも怖くて」
「遅いと?」
「はい。おかしくないですか?」
サーが、一瞬考えてから、話してくれる。
「やはり、賢いんだな。
そこに気付いてしまうんだ。
本当は気付いてはいけないところに」
「え?」
「おそらく、政府は捜索状況を隠してる」
国民を裏切る行為。
この国の、国王ならやりかねない。
ただ、公表してしまったら、アリーの逃げ道を作りやすくもなるかもしれない。
情報操作ってやつ。
「アリーはこの国のたったひとりの正統王族の姫だ。
捜索してるわりには遅い。
ヴィクトリアの国内、マイクが行く範囲で、衛兵や警官は?」
少し考えて。
「…アリーがここに来る前と変わらないです」
「本当に、庶民にはまだ捜査の手が伸びていないと思うか?」
「思いたくないですけど、もう伸びてるんじゃないかって」
言ってしまった。
言ってから、後悔した。
自分で、分かってるんだよ。
アリーと別れる日がもう近いことなんて。
「…アリーの、そばにいてやってくれ」
「はい」
おやすみなさいと切れた電話を置く。
手が震える。
逮捕が怖いんじゃない。
本当に、手放したくないんだ。