Only Three Months
こんなに追いつめられるように感じるのは、今までにあっただろうか。
辛いのは、オレよりアリスだ。


「サーも来るって」
「アルバートの人も来れるんだ」
「唯一メガネをかけてるから、見分けはつくわ」


1日が、長い。
ここ最近自習が多くて好き勝手してたから余計に。

政府関係者がもうすでに庶民学校に来てるかもしれない。
そう思うと、授業どころではない。


  ☆


政府の役人が、オレたちのクラスに来たのは昼休みの前だった。
一旦授業を中断して、挨拶。

5人いる中に、確かにメガネをかけた人がいる。
…びっくりした。
サーのことを、見たことがある気がしたから。
どこで見たのかははっきり覚えていないけど、きっとどこかで…


とりあえず座って、授業を受けているフリをする。
お願いだから、何も思わずに立ち去って…


「ちょっといいかな」
「はい」


後ろの席で授業の邪魔になりにくいから、ノートを見せるように求められる。
オレにされるのはいい。
アリスのノートを見られると、筆跡でバレる。

見られてるせいで、いまいちアリスの方を見れない。


「すみません、このお嬢様をお借りしても?」
「ええ」


オレが気付く前に、サーが近づくよりも前に、アリスが標的になった。
…政府は、分かっててきてるのか?
“姫”が、ここにいると知ってて?

アリーは立たされて、廊下へ連れ出されようとする。


「…その子に何か問題でも?」
「問題があるから抜けさせるんだ」
「私の養子なのですが」


サーが、アリーを守ろうとしてる。
“姫”とバレてしまえば、アリーは城へ戻されてしまう。


「それならなおさら問題です。
 あなたの養子だなんて」


…アルバートって、本当になんでこんなに虐げられてるんだ。
こうやって政府の視察に一緒に来てるのに。

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