Only Three Months

「この手紙を読んでいるということは、マイクはヴィクトリア王国の一国民として生活しているはずだ。
　そして、自分が何者であるかということも知ったはず。
　城での生活に戻りたいなら、今まで見てきた現実をしっかりと覚えておくこと。
　そうすれば、ヴィクトリアのように国民から見放されることはない。
　間違っても、マイクはヴィクトリアの考えに飲み込まれてはいけない」


オレが何者なのかには触れてない。
この手紙を読む前に、分かってることになってる。


「マイクは、レネがマイクを産んで亡くなったと言ったのを覚えているだろうか。
　お産のせいで、マイクの母親であるレネが亡くなったと伝えた」


覚えてる。
オレが知ってる母親の唯一の情報だ。


「それは真っ赤な嘘だ。
　レネは元気にマイクを抱き上げたし、経過も良好だった。
　しかし、急に悪化して。
　死因は、私と主治医しか知らないが、中毒死だった。
　何者かによって毒を盛られたんだ」


エドの母親が驚きで声をあげる。
中毒死？
誰かに毒殺された？


「レネを殺したのは私の姉だと考えている。
　残念ながら、証拠は見つからなかったが」


…オレの叔母？
オレの母親を殺したのは、オレの叔母？
一緒に住んでた、あの叔母？


「アルバート王国は、ヴィクトリア王国に吸収される。
　現実となれば、それに手を貸した姉の地位は上がり、権力者となる。
　姉の計画に邪魔な者が、次々と亡くなっている。
　私も同じ道を通るのであろう」


父親が、自分の姉のことを名前で呼ばない。
いい関係じゃなかったのは確かだ。


「私が殺される前に、マイクに伝えたいことを綴っている。
　散文になってしまうのを許して欲しい」


なぜ、オレの父親は国のことを考えてるんだ。
国政に関われる立場で、エドの父親が執事。
アルバート城でオレが今この手紙を読んでること。

確信は持てないけど、オレの父親が何をしてたのか、予想はついた。