Only Three Months
「マイク、自分の意志を大切にしなさい。 
 それが、この世で一番強いものだ。
 自分の信念で動いて、例え間違いでも、反省し次に活かせるならそれは立派なことだから。
 成長したマイクの元にいてやれなくてすまない。
 自分を信じて、進みなさい」


読み終えて、手紙を封筒に戻す。
もう1度読みたいけど、みんながいる場所では読みたくない。

初めて見た父親の筆跡。
オレの母親の死因の真実。
それから、オレの正体。

オレよりも先に、エドが口を開いた。


「…マイクはアルバートの王位継承者で、アリスと結婚する」
「その通りだ、エド。
 本人たちの意向は関係なく、政略結婚するはずだった」
「だった?」
「マイクが一人暮らしをするようになってから、姉の影響力が弱まったのだろう。
 アリーには、何か国かの王子との見合いが予定されていると聞いた」
「え」
「それで、今回のような強硬手段へ出たんだ」


サーの、見合いの言葉に思わず反応してしまった。
王族の結婚は、普通じゃないのは分かってる。
それでも、自分にも可能性があるって知ったら別だ。

もう吸収されて滅んだ国の王位継承者だから、他国の王子には地位的に負ける。
でも、アリーとの親密さで言うなら、勝てる。

やっぱり、政府の役人が庶民学校に来るのは異例だったんだ。
アリーがいるって分かってきてたんだ。


「マイク、混乱しているのは分かっている。
 だが、あの国王からアリシアを救えるのがマイクだけなのは分かるな?」
「はい」
「それが理解できていればいい。
 この後のことは私たちに任せて、少し休むといい」
「…ありがとうございます」


サーにお礼を言って、やっとエドの方を見る。
この手紙の事実を、エドはどう捉えたんだろう。

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