Only Three Months
「別に、何も思ってないよ。
 マイクと同じでよく分からない。
 でも、アリシア姫を助けられるなら、なんとかしてあげたい」


聞いてもないのに、エドがしゃべった。
オレより余裕があるのかもな。


「アリーって呼んであげて」
「え?」
「きっと、アリーはエドにもそう呼んでほしいって思うから」


偽名のアリスって呼ぶのはおかしい。
だからアリシア姫って呼び方をしたんだろうけど。
たぶん、アリーは嫌うから。


「…大変よ!!」


そう言いながら、女性がひとり走ってきた。
その慌てぶりに、サーが出ていく。


オレとエド、エドの両親が残される。


「エドもマイクも、ご飯食べられそう?」
「要らないかな」
「オレも」
「それなら、部屋を案内するわ。
 ふたり別がいい? 一緒がいい?」


エドの母親が気遣ってくれる。
部屋が別がいいかを聞かれて、顔を見合わせる。
きっとオレは、ひとりだと考えすぎて気が参る。


「一緒がいい」


エドが、そう言ってくれた。
本当に、エドでよかった。



「分かったわ、行きましょう」


広いロビーからのびる階段を上って、一番奥の部屋。
テレビで見るようなホテルのスイートルームみたいな部屋。


「慣れるまで落ち着かないでしょうけど、ここがあなたたちの部屋よ。
 トイレもお風呂も部屋にあるから、好きに使って。
 また要るものがあったら言いなさいね」
「ありがとう」


エドの母親が部屋を出て、エドとふたりきり。
家と同じようにベットに腰かけてみると、寂しくなる。
隣に寄ってくるアリーがいない。

エドが、オレの隣にタオルを置く。


「とりあえず、シャワーでも浴びてきたら?
 気持ちを整理するのは難しいし、状況を変えようと思ってもオレたちには分からないことが多すぎる」


…エドの言うとおりだ。
タオルを受け取って、エドがすでに見つけていたシャワールームへ。

< 81 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop