Only Three Months

“レネの葬式には、本当に親しい方たちだけを招いた。
 各国の代表の方々も多数お見えになったが、献花のみにしていただいた。
 国民の生活を知る私たちが、どうして派手にふるまえるだろうか”


冠婚葬祭を派手にする国。
…ヴィクトリア王国。
オレみたいに王族に反発するような人、庶民学校にはいなかったけど。

アルバートは、異なっていたんだ。
アルバートの人たちは、今のヴィクトリアを見てると国政に反対したくなるだろうな。
国王がこういう考えの人だったなら。


“レネを毒殺したのは、姉だと思っている。
 私が特に信用している人たちで、調査を開始する”


父親にとって、姉であるオレの叔母は、どういう存在だったんだろう。
地位的には国王である父親の方が上。
叔母の地位は?
隣国の権力者になるくらいだ。
叔母の思い通りの地位ではなかったんだろう。

…王族だと、親族でさえ信用できないのか。
母親の捜査だって、“特に信用している人たち”だから、親族とは限らない。


  ☆


だんだん日記が長くなっていく。
書きたいことが増えているのか、書くのに慣れたのか。

小さいころのオレの生活とか成長ぶりが詳しく説明されてるんだ。
エドと読むには恥ずかしかった。

叔母の動きについても記録が残ってた。
オレの母親を殺したのが叔母である痕跡は、まったく出てこなかったそうだ。
極秘調査で聞き込みができなかったから、限界もあったかもしれないとも。


日記の中で1年が経った。
次にくる記事は、オレの1歳の誕生日。


“今日はマイクの1歳の誕生日であり、マイクにとって初めての公務となった。
 まだまだ小さな子どもなのに、滅多なことがないとぐずらない。
 マイクは感情表現のパターンが少なく、これからそれが壁となるかもしれない”


ポーカーフェイスは今でも言われる。
エドは、長く一緒にいるから分かるだけ。

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