Only Three Months
「アリーは公の場でもよく話したり泣いたりして、感情をすぐに表に出す子だった。
 マイクは逆で、公の場ではしゃぐことはなかった。
 アルバートの城の中では、子どもらしく元気に遊んでいたんだがな」


日記にあったことか。
外ではおとなしくて空気が読めていた。
城でのオレのはしゃぎっぷりを知ってないとそうは言えない。


「マイクには、アルバートの期待がかかってた。
 城の中で、マイクを褒めない人間はいなかった。
 こんなにしっかりした子どもはいないって、みんなが言っていたんだ。
 ダニエルは、その評判を嫌っていたが」


父親の名前を聞いても、やっぱりピンとは来ない。
国王って呼ばれてる父親も、思い出せはしないけど。


「何でですか?
 子どもが褒められているのに」


オレの代わりに、エドが質問してくれる。


「ダニエルは、小さいころから期待をかけすぎるべきではないと、いつも怒っていた。
 子どもにはできるだけのびのび育って欲しいのに、それができなくなると。
 マイクは見事に裏切って、公務ではおとなしく、城でははしゃいでいた。
 城の中でのマイクは本当に素直で、可愛い子だった」


公務と城内部でのメリハリが、小さいながらにできていたのか。
父親は、それを嫌っていたけど。

本当に、記憶がない。
3歳までアルバート城にいたなら、少しくらい残っていてもいいはずだ。


「すごいね、マイク」
「…分からない」
「覚えがないのか」
「はい」


3歳だから、なくて当然なのかもしれない。
でも、せっかく城にいるのに、何も思い出せないのか?
本当に、何も覚えていないのか?


「マイク、子ども部屋すら覚えていないのか?」


子ども部屋と言われて、思いつく部屋はない。
サーには、オレが記憶で苦しんでるのがバレてるみたいだ。


「…いいところへ連れて行ってやろう。
 もちろん、エドも一緒に」
< 93 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop