三音糖 ー森を駆ける少女ー
1走ー2
1学期の始業式も終わり、生徒は各教室へと戻った。
担任から配布物が配り終えると、今日はそれで終わり。
みんな各々、部活に行ったり、帰ったりと散らばっていった。
教室を出た椎音 朱莉は階段を全力で駆け下り、部室へと駆け込んだ。
他の部活より少し狭く、棚には綺麗に整頓された地図の入ったファイルとあの白とオレンジのポストが入ったケース、大会でみたあの赤いユニットが、何十個と入ったケース…などが置かれている。
3つの椅子が円状に囲うように配置され、朱莉はその内の奥の席へと腰をかけた。
おもむろにバッグから自分の地図ファイルを取り出し、関東杯の地図を広げる。
スマホに書いた反省点と照らし合わせながら、もう一度復習をする。
そんな事をしていると、扉が開き、2人が入ってきた。
「あかりちゃん、おは!」
「あかりん早くない?」
「始業式だから早く終わったんだ。」
「まいの担任ひどいんだよー!配布物が配り終わったら終わりかと思ったら、夏休みの思い出を語れ!だってさ~」
「でも、まい楽しそうに話してたじゃん。」
ニヤッと笑った菜穂は妹の痛いところをつく。
「い、いやーあれは、ほら、その~…ぶ、部活やろ!ね?そうしよ!」
「まい…分かるよ、大丈夫だよ。」
「わーかわいそーな、まい。」
「2人して同情しないでよ!!ていうか、菜穂ちゃん棒読みだよね!?絶対思ってないよね!?」
「はいはい、部活やろやろー。」
「うわーん…あかりちゃ~ん、なおちゃんがいじめるぅ~…」
朱莉に縋る妹を見て、2人は笑った。
「今日は何するー?」
菜穂が着替えながら、朱莉に問う。
んー、と考えながら朱莉が喋り出そうとした時。
妹が菜穂の体を見て言った。
「なおちゃん、また大っきくなった?」
「んなっ!?」
「えぇ~!なお、また~??」
顔を赤らめながら菜穂は必死に弁明をする。
「大っきくなってない!あ、あかりんの方が大っきくなったって!!」
慌てて朱莉に振ったが、それは大きなミスだった。
「へぇ~、私の胸はなおのより立派なんだ~。へぇ~…」
明らかに怒りのオーラを放っている。
笑顔だが、なぜかその笑顔が怖い。あまりの怖さに菜穂と妹は腰が引けている。
「あかりちゃん、私たちはまな板として同盟を組もう!ねっ?」
「そ、そうそう!それがいいよ!あかりんとまいで同盟組んだらまな板でも無敵だよ!!」
また地雷を踏んだ。
「なお、それどういう事かな~??」
「なおちゃん、ちょっと説明してもらおうかな?」
「ヒィィ…ぃやぁぁぁああああ!!!」
この後、菜穂があんな事やこんな事をされたのは言うまでもない。
桜はまだ散らない。空は橙色に染まり、風に揺られ散る花弁が見事にライトアップされている。
部活終わりの生徒が学校からぞろぞろと出てくる。近くに建つ道の駅へと行くために大通りを歩く生徒の中に3人はいた。
「そういえば、今日道の駅に新しいスイーツが出たよ!」
交差点で信号待ちをしている時に菜穂が喋りかけた。
「えっ、それホント!?」
「さすが、なおはやっぱ情報網がスゴイね~」
地元一のスイーツ好きとして有名な菜穂は誰よりも早くスイーツの情報を仕入れてくる。ソースは主に新聞と自分の耳らしいが、実際の所、お店も公開していない情報をどうしてそんなに早くゲット出来るのかは分かっていない…。
そんな彼女は学校近所にも配布される新聞局の週刊に「今日のスイーツ」という連載をしており、地元でも高評価らしい。当の本人は記事に書いたスイーツが新聞局の奢りで食べられることの方に嬉しさを感じているようだが…。
「ふふんっ、私のこのスイーツアンテナにかかればこんなもんよ!やっぱり、この美ボディーにスイーツも惹かれて…」
「食べに行こー、あかりちゃん」
「うん、行こ行こー!」
歩道で1人胸を張っている菜穂を置き、朱莉と妹の2人は青に変わった信号を渡る。
「…やっぱり、私の情報網は素晴らしいんだよ!…って、あれ?お二人さん、私を忘れてはいませんか?」
2人は横断歩道の反対側で振り返り笑顔で告げた。
「「私たちはまな板として"2人"で食べてくるから。微ボディーの菜穂ちゃんは勝手にどうぞ。」」
「なんで!?あ、え、待ってぇ~!!謝るからぁ~!」
結局、菜穂は2人に新スイーツを奢る事で許して貰ったようだ。
「ていうか、微ボディーって漢字違くない!?」
1学期の始業式も終わり、生徒は各教室へと戻った。
担任から配布物が配り終えると、今日はそれで終わり。
みんな各々、部活に行ったり、帰ったりと散らばっていった。
教室を出た椎音 朱莉は階段を全力で駆け下り、部室へと駆け込んだ。
他の部活より少し狭く、棚には綺麗に整頓された地図の入ったファイルとあの白とオレンジのポストが入ったケース、大会でみたあの赤いユニットが、何十個と入ったケース…などが置かれている。
3つの椅子が円状に囲うように配置され、朱莉はその内の奥の席へと腰をかけた。
おもむろにバッグから自分の地図ファイルを取り出し、関東杯の地図を広げる。
スマホに書いた反省点と照らし合わせながら、もう一度復習をする。
そんな事をしていると、扉が開き、2人が入ってきた。
「あかりちゃん、おは!」
「あかりん早くない?」
「始業式だから早く終わったんだ。」
「まいの担任ひどいんだよー!配布物が配り終わったら終わりかと思ったら、夏休みの思い出を語れ!だってさ~」
「でも、まい楽しそうに話してたじゃん。」
ニヤッと笑った菜穂は妹の痛いところをつく。
「い、いやーあれは、ほら、その~…ぶ、部活やろ!ね?そうしよ!」
「まい…分かるよ、大丈夫だよ。」
「わーかわいそーな、まい。」
「2人して同情しないでよ!!ていうか、菜穂ちゃん棒読みだよね!?絶対思ってないよね!?」
「はいはい、部活やろやろー。」
「うわーん…あかりちゃ~ん、なおちゃんがいじめるぅ~…」
朱莉に縋る妹を見て、2人は笑った。
「今日は何するー?」
菜穂が着替えながら、朱莉に問う。
んー、と考えながら朱莉が喋り出そうとした時。
妹が菜穂の体を見て言った。
「なおちゃん、また大っきくなった?」
「んなっ!?」
「えぇ~!なお、また~??」
顔を赤らめながら菜穂は必死に弁明をする。
「大っきくなってない!あ、あかりんの方が大っきくなったって!!」
慌てて朱莉に振ったが、それは大きなミスだった。
「へぇ~、私の胸はなおのより立派なんだ~。へぇ~…」
明らかに怒りのオーラを放っている。
笑顔だが、なぜかその笑顔が怖い。あまりの怖さに菜穂と妹は腰が引けている。
「あかりちゃん、私たちはまな板として同盟を組もう!ねっ?」
「そ、そうそう!それがいいよ!あかりんとまいで同盟組んだらまな板でも無敵だよ!!」
また地雷を踏んだ。
「なお、それどういう事かな~??」
「なおちゃん、ちょっと説明してもらおうかな?」
「ヒィィ…ぃやぁぁぁああああ!!!」
この後、菜穂があんな事やこんな事をされたのは言うまでもない。
桜はまだ散らない。空は橙色に染まり、風に揺られ散る花弁が見事にライトアップされている。
部活終わりの生徒が学校からぞろぞろと出てくる。近くに建つ道の駅へと行くために大通りを歩く生徒の中に3人はいた。
「そういえば、今日道の駅に新しいスイーツが出たよ!」
交差点で信号待ちをしている時に菜穂が喋りかけた。
「えっ、それホント!?」
「さすが、なおはやっぱ情報網がスゴイね~」
地元一のスイーツ好きとして有名な菜穂は誰よりも早くスイーツの情報を仕入れてくる。ソースは主に新聞と自分の耳らしいが、実際の所、お店も公開していない情報をどうしてそんなに早くゲット出来るのかは分かっていない…。
そんな彼女は学校近所にも配布される新聞局の週刊に「今日のスイーツ」という連載をしており、地元でも高評価らしい。当の本人は記事に書いたスイーツが新聞局の奢りで食べられることの方に嬉しさを感じているようだが…。
「ふふんっ、私のこのスイーツアンテナにかかればこんなもんよ!やっぱり、この美ボディーにスイーツも惹かれて…」
「食べに行こー、あかりちゃん」
「うん、行こ行こー!」
歩道で1人胸を張っている菜穂を置き、朱莉と妹の2人は青に変わった信号を渡る。
「…やっぱり、私の情報網は素晴らしいんだよ!…って、あれ?お二人さん、私を忘れてはいませんか?」
2人は横断歩道の反対側で振り返り笑顔で告げた。
「「私たちはまな板として"2人"で食べてくるから。微ボディーの菜穂ちゃんは勝手にどうぞ。」」
「なんで!?あ、え、待ってぇ~!!謝るからぁ~!」
結局、菜穂は2人に新スイーツを奢る事で許して貰ったようだ。
「ていうか、微ボディーって漢字違くない!?」