ノラと呼ばれた男【壱】
「へぇ、それこそ意外だな」




ふっ、と口角だけ上げて笑む竹松。




「そ?なんで意外?」


‘’意外‘’と言われた事が、逆に意外で






寧ろ得意なのは、UFOキャッチャーくらいだ


携帯ゲームなんて、したことないし。
てか、多分飽きる。俺の性格上。














「人生もゲームに似てるから」



「…………そうか?」



「オセロも将棋も文字リスも、似てる


どう動くかで最後は変わるからな」





嗚呼……なるほど、そういう考え方か

確かに、見方を返れば似てるかもしれない。



…………………………が、









片手を伸ばして、竹松の頬を軽く摘まんだ


その際「何」と、竹松の口が動いて、









今度は俺が口角だけを上げて笑む


「痛い?」


「あ?……嗚呼」


「それがリアルだよ。ゲームは痛くない」







でしょ?と、問えば。

先生は俺の手を頬から離し、少し不機嫌面でそっぽを向いた



「知ってる、だから…」


「ん」


「だから現実は面白い」






と。余計なお世話だったかもね

ちょっと心配して損したなぁ(笑)




だって、少しだけ…先生が現実を見ていないような気がして、



「昔の話だ、廃人だったのは」


「そっか」


「今はただの暇潰し」








そう言った後、

携帯をポケットに入れて頬杖を付き、私を見据えた。


「なぁ、1つ質問いいか?」


「どーぞ?」














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