ノラと呼ばれた男【壱】
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トイレから出てきた私を待っていたのは、


鬼の面を被った、二人の男










「トイレ前で待ち伏せ?」



そう問う私に、一人の男が言葉を発した



「下っ端がお前に迷惑をかけた、と聞いた」



「…………迷惑?」








何の事だ、と眉を潜めれば、


その男の横に控えていた、もう一人の男が言葉を発する。






「こちらも、覇王を敵には回したくない……誠意を見せに来た」


「俺たちは覇王と現在、敵対してる乱鬼です」





と、静かに告げられた。

『姫、もしね……乱鬼と…………会っちゃったら逃げてね?』



『いい噂は聞かないからね』



『まぁ、なんかある前には言えよ』










そんな、皆の言葉を思い出す。


『一華……どこか行く時は一言、言ってくれ』











あの時、そう、迅に言われてたのにね



「今、時間あるか?




少し――――――――――――…付き合ってくれ」
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