ノラと呼ばれた男【壱】
【迅side】


ふっ、と目が覚めれば。

居るはずの‘’そこ‘’に、あいつは居なかった――――――――――――……






椅子を触れば、冷えていて。温もりすら感じない


て事は、だいぶ時間が立っているという事だ


………………………………チッ、







なんで目ぇ離した。

まだ、この学校に乱鬼の連中だっている

もし、何かに巻き込まれてたら、






―――――――――――――――――…ガタッ




と、音を立てて立ち上がれば、


クラスメートが小さく悲鳴を上げた。







それと同時に、時雨、羽音、藍が目を覚ます



「悪い、一華が何処に行ったか知ってるヤツいるか」


そう問う俺に、情況が分かってきたらしい3人は青ざめていく

だが、それは一瞬で、





「あ、…………あ、あのっ、ぼ、僕



のっ、…………ノート提出しに行った時………………お、鬼のお面をした……ふっ、二人に……連れて行かれるとこ、……………………みっ、み、見ましたっ」




と、クラス委員の田中が教えてくれた。








それが一瞬で怒りへと変わるのは早く


………………………………鬼の、面







「乱鬼か」


珍しくも、切れた藍。口調すら、素で


「どっちに拐われたか、が問題ですね」



「めんどくせぇ……さっさと探すか」
< 116 / 168 >

この作品をシェア

pagetop