ノラと呼ばれた男【壱】
◆◆◆

「外、いい天気だなぁ…外で食べたいなぁ」







頬杖を付きながら、自然と呟いた一言

だから、まさか返事が返って来るとは思ってもいなかったわけで、


「じゃ、皆で中庭いこっ♪」




後ろから、ぎゅ。っと抱き締められて、

振り返れば…………わぉ、可愛い笑顔





心なしか、クラスメート(男子ら)が頬を赤めている。視線は勿論、藍に。

いや、うん……、一応可愛いくても藍は男だよ?分かってんのか←




「つか、俺、売店行きてぇ」



「あ、俺もぉ。羽音と迅は?」



「俺は飯抜き」








ぐっ、と伸びをしながら答えた迅に素早く反応したのは彼等の母、羽音で。

すごい形相(般若の如く)のまま、


「駄目だよ、食事抜くなら‘’あれ‘’は手伝えない」







と。珍しくも、ブラックな羽音様

思わず私でさえ、1歩後ずさる





てか、‘’あれ‘’って……なんの事?


思わず首を傾げれば、小さな声で時雨が教えてくれた。


「あれ。ってのは、人探しの事な」




「…………人探し?」





「おう、ノラの事。ま、お前に言っても分かんねぇと思うけどノラってのはさ迅の、……いや、違うか、俺らの憧れなんだわ」
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