ノラと呼ばれた男【壱】
え、…………なに、名前……!!??
いやいやいやいやいやいや、……は?
わざわざ、此処に来た目的、
私の名前聞きに来ただけ、って事?
ごめん。待って。私頭良くないから意味分かんない。
「ねぇ、何の冗談?」
「は?本気ですけど何か問題でも?」
しれっと、「俺変な事いいましたか?」みたいな顔してんじゃないわよ
ほら、もう、なんか口調がオカマっぽくなったじゃん←
「自分は貴女に名乗りました。
でも残念ながら貴女の名前を聞いていなかった、だから教えて下さい
そしたら今日は大人しく帰ります」
にっこりと、善人みたいな顔して笑うから、
いつの間にか彼に対しての警戒心も溶け、
溜め息の後、口にした。
「姫川 一華」
やけくそ。と言えばそれまでだが、なんとなく言わないと本当にこのまま、この男が居座る気がして、
だから、諦め半分。開き直り半分、かな
「一華、さん…ですか、格好いい名前ですね。貴女に似合う名だ」
「……そりゃどーも、で?」
「はい?」
「私の名前聞いて、口説きに来ただけ。なんて信じられないんだけど」