ノラと呼ばれた男【壱】
下っ端くんたちが嬉しげに拍手してくれて、



ぶっちゃけ、全員に拒否られる覚悟してた私は軽く拍子抜け

なんか、めっちゃ緩いんだけど、









こんなんで覇王大丈夫?壺とか間違って買いそう、なんて思っても言わないけど

皆、人が良すぎて心配になる




と、頭を抱えたくなる衝動を抑えていたら。迅が言ってた‘’客‘’が来た

思ってた以上に…………多い




そう思って見ていた私を他所に、未だ気付かない下っ端くんたちの為、一人が咳払いをする。

なんとも、まぁ嘘臭い咳払いは私のツボに入った。勿論、迅、時雨、羽音、藍らは入り口のドアが開く音で‘’彼等‘’が来たことには気付いた様だが、

複数の足音で気付けたのは私だけみたいだった





「は!?な、お前ら誰だよ!!??」


咳払いをする横の男へ視線を向けた下っ端くんが、声を荒げるのも無理はない

黒スーツに黒ネクタイ、そして白い手袋

両腕は後ろで組み、仁王立ち。




どこをどう見ても体育祭に見る応援団の格好だ。エール交換したら、まさに‘’それ‘’

つまり、何が言いたいかと言いますと、

めっさ不審人物!って事。







せめて1~2人で来ればいいのに、


なんで大勢で来ちゃったかな…………乱鬼さんたちは

「お邪魔してます、怪しい者じゃないですよ」



「それ、怪しいやつが吐く台詞の1つな」





などと、緩い空気の二人。

場の空気など読む気がないのか、先頭に立つ赤鬼と青鬼はマイペースに話す



そんな二人に空気の流れを持ってかれた、下っ端くんらは…ただただ呆然と見ている事しか出来なくて、

え。何、誰が呼んだの?

幹部のお知り合い?

てかスーツって…何?








と、場が再度ザワ付き出した時、












「よく来てくれたな、乱鬼」
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