ノラと呼ばれた男【壱】
頬っぺを膨らませ、拗ねる藍。



え。待って。その頬っぺの膨れ具合、めっちゃリスみたいで可愛いっ←












なんて、思ってたら。


藍とバッチリ目が合った。







―――――――――……あ、なんか嫌な予感が、





と言う読みは当たり、



「いいもんいいもんっ、





じゃあ俺と姫だけで行ってくるもんねっ、ね?姫♪」





「………………え゛」






「それにそこ、カップルで入れば半額なんだってさ♪ラッキー



勿論、付き合ってくれるよね姫?」







私の服の裾を、ちょこっと掴んで引っ張る藍は無自覚か否か、



~~~~~~っ、上目遣いずるいっ




「ね、お願い……姫?」



うるうると瞳を揺らす少女……ではなく、野郎に‘’可愛い‘’と言う名のトキメキを感じた私は、


悶えつつ「分かった」と頷き、


今日の放課後、藍とそのカフェに行く事となった………………………………が、










「てか、カップルですらねぇけどな」



と。重要事項を忘れ、浮かれまくっている藍を他所に時雨、羽音、迅はひっそりと溜め息を吐いたのだった――――――――――――……





















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