ノラと呼ばれた男【壱】
「手遅れだったよ、姫」
ずっと、俺の昔話を聞いてくれてた姫に笑いかければ、
小さい声で「バカだなぁ」なんて言われて、
再び目頭が熱くなる。こんなダサい俺、見せたくないのに駄目だ…止まらない
「頑張ったね、藍
もう……許してあげて、自分自身を」
「~~~~~~~っ、」
「泣いていいんだよ」
そんな優しすぎる言葉に、喉が詰まる
誰かに言って欲しかった言葉
でも、ずるい……姫が言っちゃうなんて
迅にすら、泣くとこ見せなかったのに
だって迅に言ったら全て俺の傷を背負おうとするから、
だから迅には見せなかったのに、
なんで、あっさり姫が俺を助けちゃうのさ
「ねぇ……姫、」
「ん?」
「俺ね欲張りなんだ」
「うん?」