ノラと呼ばれた男【壱】


「もう、手放せないかも」



「ん?」



「姫の事。」








アイツらが俺にとって一番大切だった


でも、同じくらい姫の事も大切になっちゃった







こうなる事、ホントは分かってた



俺にとって姫は……特別になるって事

突き放せれば良かった、

そうすれば……きっと楽だったのに、








「うん、私も……嫌がっても放してやんない」




「ははっ、何それ口説いてる~?」







なんて悪戯な顔して聞けば、


ニヤッと意味深に笑って、姫が顔を近付けてき…………って近い近い近いっ!






互いの鼻と鼻が触れ合う距離、



人はこれを、‘’恋人の距離‘’とか言うんだっけ?いや、うん、ごめん何が言いたいのか自分ですら分からなくなってきたんですけど、


ただ、言える事は…………マジの至近距離







「口説くなら……この距離で口説くかな?」




と、囁く様に言った姫が………………、



ほんの一瞬だけ別人に見え、息を呑む
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