ノラと呼ばれた男【壱】







…………あれ、



姫って………………女の子、だよね?










そう聞きたくなるくらい、



姫の纏う雰囲気が変わり、中性的な……


と言うか……迅に似た雰囲気で、









見とれるほど格好いい、なんて言っていいのか分からないが、



そう言いたくなるほど、目を引いた









「さて、今からどーやって帰ろっか」



「……」



「藍、聞いてる?」





俺の顔を覗く様に姫がじっと見てきて、小首を傾げた



――――――――……あ、いつもの……姫だ



可愛らしい仕草を無自覚にする、

それが‘’いつも‘’の姫だ






少なからず学校では、その顔しか見たことはなく……だからこそ、


少しだけ、ドキリとした、


姫じゃない、姫の一面を覗いたような気がして







「……一応、迅たちに連絡した方がいいかも」



「うん、分かった。じゃあ連絡は藍に任せるね」







軽く頷き、胸ポットに入れていたケータイを取り出し片手で操作した


因みに、メンバー全員から電話とメールが来ていて「怖ぇー」なんて内心毒づいた事は内緒―――――――――――……














そして、メールを送った数分後、
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