ノラと呼ばれた男【壱】
なんて、くだらない会話を繰り広げていたが…………………………………………、













「やめて下さいっ、離してっ」



女性の声がし、俺らの会話はぴたりと止まった。

まぁ、簡潔に言えばナンパ




一階のフロアのとこ。んで、その上。つまり2階のフロアに俺らが居るんだけど、


ある意味、下が良く見えて。世界丸見え状態←ぇ






「あーあ……、声掛けて失敗しちゃったパターンか御愁傷様」


そっと手を合わす搖の顔はまだ笑っていて、


ついでに言うと、竹松先生は既に興味が失せたのか違う方向を見ているが、










この二人がキレる前に、ナンパしてる野郎どっか行かねぇかな。てのが、俺の本音












「なぁなぁ、俺らと回ろーよ」



「友達待ちなら、俺らも混ぜて♪」





そして、俺の思いとは正反対に悪化するナンパに、無意識にも溜め息が出た。



……………………うざったいな









そう思ったと同時に、一階のフロアに体を投げ出すように2階から飛び降り、


身体がほんの数秒、宙を舞う







瞬間、たまたま近くにいた通行人らが悲鳴を上げたが。特に問題はなく、



どちらかと言えば綺麗に着地できたし、



モーマンタイではないだろうか。









「んだぁ、お前。どっから沸いた?」



と、問う男の声が微かに震えたのは俺を見てる搖と竹松先生にビビったからか、それとも…………俺の殺気に当てられたか、だ



まぁ、どちらにしろ俺には関係ない









「……………………俺の連れに何か用?」





そう、口を開けば。


ナンパされていた彼女が「え?」という顔をしたが、気にせず細い手首を掴んで引き寄せた。
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