ノラと呼ばれた男【壱】
と、か細い声が俺らを止める。
振り返れば…………………………、
「先程は有り難うございましたっ」
ふわりと、内側に巻かれた髪が揺れ。
その際、甘い香水の匂いが香った。
肌は色白で、肩の出た淡いピンクのワンピース。よく似合っている。の、一言しか思い付かないくらい、
自分の見せ方を知っている女の子
「あの、…………もしかして、あのノラさん…………ですか?」
と、小首を傾げる彼女。
大きな目が真っ直ぐと俺を捕らえた。
女子力たけぇ←笑
さりげに上目使いになってますよお嬢さん
「……そうだよ。俺ですけど何?」
これ以上、会話を続ける気がないことを察してほしい。と言うか察してくれ
うっかりボロが出る前に
「良かったらケータイ番号おし、」
‘’教えてくれませんか‘’と、彼女が言い終わる前に、ふっ、と微笑み、
彼女の頭を撫で、
「――――――――――またな」
耳元で囁き、その場を後にした。
云わば逃げるが勝ち。である←
その為、一部始終を見ていた観客らや、彼女が頬を染めた事など、
背を向けて歩き出した俺が知る筈もなく
そしてまた、竹松先生と搖が内心で
((……………………天然タラシめ))
などと毒づいた事も、気付かないまま
俺の頭は……………………たこ焼きに支配されていた―――――――――――――――。