ノラと呼ばれた男【壱】
「どーした、考え事か」



視線は上げず、そのまま携帯を弄る竹松先生の指は動いたままだ。

何してんだろ、LIN○?





「竹松先生の事、考えてた」


「…………………………は?」






瞬間、スルリと先生の手から携帯が落ち、画面には【ゲームオーバー】の文字



あ、ゲームしてたんか

と一人納得した俺と異なり、竹松はしかめっ面で、



「どーしたの、先生」



悪いもんでも食った?って意味で聞いた俺に返ってきた返事は、



「……んの、天然タラシ」


「え?タラシ?……何が?」






全くもって会話が噛み合わず、竹松は「忘れろ、独り言だ」と呟いた。


独り言にしてはデカイ独り言ですね(笑)

歳かな?てか、竹松先生いくつなん




嗚呼、まぁ、搖と多分歳は近い…かな?








「先生ってゲームするんだ」


「意外か?」


「え、……うん」






先生のイメージからして、ゲームとか無縁そう。逆に映画とか音楽が趣味、とか言いそうなタイプだけど、

落ちた画面を見て、苦笑した




「もしかして、ゲーマー?」


何この高得点スコア。

俺、昔、文字リスしてたけど見た事ねぇよ



「意外に廃人してたりする」


「まじで」


「まじ。昔は別の奴で課金してたぐらいだ」


「すごいね、俺、こつこつヤるの苦手だから続かないんだよなぁ」
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