独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
切なく彼の名を口にすれば、遼がかちりとシートベルトを外し、こちらへと身を乗り出してきた。
熱い指先で私の耳と頬をなぞり、そっと顎を持ち上げる。
彼の顔が近づいてくるのを感じながら、私は瞳を閉じた。
重ねられた唇は少しだけ荒っぽく、先ほどよりも強く「帰したくない」と言われているような気持ちになってしまう。
強引に奪われるようなキスが優しく包み込むようなキスへと変わり、また思いをぶつけるようなキスへと戻っていく。
彼の唇に翻弄され、リップ音に自分の甘い吐息が混ざり合う。
まだ日が高いこの時間、通りすがりの誰かに見られているかもしれないと恥ずかしく思いはしても、遼のキスを拒むことはできなかった。
このまま彼とこうしていたい。私に触れていて欲しい。
額と額をこつりと合わせた後、遼がふっと笑みを浮かべた。
「帰さない」
カッコよさに思わず見惚れながらも、私は顔を熱くさせたまま小さく頷き返した。
遼は私の頭をポンポンと撫でてから、外したばかりのシートベルトを装着する。
それを見て、私もいそいそとシートベルトに手を伸ばす。
嬉しくてたまらなくて、にやけてしまう顔を両手で覆い隠していると、それを不思議に思ったらしい遼が、ハンドルに手をかけて「麻莉?」と私を呼んだ。