独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
『倉渕遼を好きだと言えばいい』
助け舟として彼がくれた言葉は、すでに私の中で“現実”に変わりつつある。
遼は私のことを自分のことのように考え、力にもなってくれる頼もしい存在である。
私の中で彼への思いは特別なものへとどんどん変化していっているけれど、彼の気持ちは……正直、どう捉えていいのか分からない。
最近の彼は、いろいろ私に甘いのだ。
仕事が多忙を極めていたり、先週末から出張が入っていたりと、ここ二週間、彼とは直接会っていない。しばらく顔を合わせていない。
そんなことはこれまで何回もあったし、そんな時は音沙汰無しが普通だったというのに、今回は違うのだ。
夜になれば電話をかけてくる。それに……、
「あっ! やっぱりそのピアス! 彼氏からのプレゼントですか!?」
アルバイトの女の子に言われ、私は無意識にピアスに触れていたことに気付かされた。
顔を熱くさせながら、「まだテーブル片付けてないよ!」と店の奥の方を指さし、私はいそいそとその場から退散する。
スタッフルームに飛び込み、ふうっと息を吐き出す。
発注書をデスクの上に置いてから、私は耳たぶで輝いているだろうピアスにそっと触れた。
アルバイトの彼女が言っていた通り、これは遼が私にくれたものなのだ。