独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます
言い終え、緊張を逃すよう静かに息を吐き出すと、突然榊さんが大声で笑い始めた。
「何言ってんだよ。マイナスに決まってんだろ!?」
そして恨みのこもった目で私を睨みつけてくる。
「結婚生活に幸せなんてものは望んでいない。榊商会の副社長に見合った嫁を手に入れられれば、俺はそれで良いんだよ。むしろお前は俺が望んでいた以上の代物だ。兄貴たちのどの嫁よりも家の力が強くて、なおかつ見た目も良い」
考え方自体が私とは違う。この先もずっと、彼とは理解し合えない。
そう気付かされれば、目の前にいる彼がやけに恐ろしく見えてくる。
強引に手を掴み取られ、思わず息をのんだ。
身動きがとれずにいる私を見て、榊さんがにやりと笑う。
「麻莉。お前、幸せな未来を夢見てるようだけど、あの男とこのまま一緒にいても、そんなもの手に入らないぜ」
言いながら、彼は私の手を撫でつけてくる。ゾワリと身体を震わせながら、その手を払い避けようとしたけれど、簡単にはいかなかった。
「てっ、手を離してください!」
「あの男は倉渕物産の跡取りだろ? 上に立つ男は決まって野心家だからな。結婚相手だって、結局は会社の利益につながる女を選ぶだろ」
「遼はそんな人じゃ……」